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金沢方式推薦のことば

推薦のことば

金沢大学副学長 医学博士

古川 仭 先生

日進月歩の医学の発展には目を見張るべきものがある。その一つの分野は、どんな不治の病であろうとも、その原因を明らかにし必ず治るということを現実化した画期的な診断技術や先進医療技術である。

このようなめざましい医学という科学の成果がもたらす分野とは別に、円滑な社会生活の質的向上のために、本人自身が、失われている機能を回復するために払う懸命な努力や訓練を、科学的に指導し支える医療の分野も存在する。

これらの目的達成は近親者や医療に携わる者ばかりでなく、人類全体の悲願でもある。聴覚障害乳幼児が立派な言葉を話すことができれば、これも人類の大きな喜びである。ひたすらこのことを願う金沢方式は後者の医療分野に属する。

金沢大学医学部附属病院耳鼻咽喉科には、昭和39年に全国に先駆けて言語障害に悩む人たちのための専門外来が開設された。

金沢方式は、専門外来発足当初から、その道一筋に歩んでこられた故鈴木重忠博士をはじめ、金沢方式の開発や実践、普及に長らく携わり、今なお改善・工夫の研鎭に励まれている能登谷晶子博士によって発展・実証されてきた。

金沢方式の特徴は、文字言語や手指言語を音声言語と同時期から刺激し、最終的には音声言語を発達させようとするものであり、文字・音声法とも呼ばれている。

現代社会の人間のコミュニケーションの多くは、音声言語行動をその中心基盤にしているだけに、聴覚および発声・発語に関係した器官を常に診療の対象としている私ども耳鼻咽喉科医には、率直に言って文字言語を刺激しながら音声言語を発達させるというアイデアはなかなか思い付かない。

鈴木重忠博士の鋭い洞察力から生まれ出た本法は、30数年にもおよぶ実践を経て、単なる過去の仮説から今や現実のものであることを見事に証明してくれた。

聴覚障害乳幼児が正しい日本語を話し、読み書きもできる立派な聴覚障害者に成長したのである。コミュニケーション障害に関する医学は、人間としての機能維持の医学であり、21世紀の医学は、まさにこの領域を目指すものであると期待されている。

金沢方式はこの意味でまさに時宜を得たものであり、ひとりでも多くの人に活用されていくことを切望する。




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